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短編SS『クリスマス・セレナーデ』

『クリスマス用のSSを』と考えていたら、いつの間にか少女漫画風になった。

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが おれも何でこれを書いているのかわからなくなった……。



ということで、なのフェイでクリスマスSSです。

砂糖多めでお送りします。



続きから、ご賞味くださいませ^^
年末となり、地球に帰って来ていた私たち二人。

海鳴の町はイルミネーションに彩られ、サンタの格好をしている人もちらほら。



私たちはその中を指を絡めて、手を繋いで歩く。



そうしてしばらく歩いていると、視界の開けたところにたどり着いた。



町の中心地、中央広場。

大きなクリスマスツリーは本物のもみの木で、そこには数え切れないほどの電飾と飾りが巻かれている。



「クリスマス、だね」
「そうだね、フェイトちゃん」



白銀の世界がライトアップされて、朝と見紛う光を放つ。

一緒に照らされている金色の髪、しゃらりと華麗に翻って。



「今年もなのはと一緒に過ごすことが出来て、良かった!」



その笑顔には、同姓でもドキドキ胸をときめかせてしまいそうな魅力がある。

ましてや、それを向けているのが私だけだなんて。



「あ、う、うん。 そうだね。 うん……」



心底フェイトちゃんに惚れている、私だけに向けてくるなんて。

胸が詰まって、呼吸さえも忘れてしまいそう。



「どうしたの、なのは?」
「きゃ……」



腰を屈めて下から上目遣いで覗き込んでくるなんて、反則。

口付け、しようとしたら唇が簡単に届いちゃいそうだよ?



「何でも、ないよ」



吸い寄せられそうなそこから目をそらして、私はそっぽを向くように顔を背ける。

すると。





コツッ





おでこに何か堅いものが当たった。



「これ、は……」



良く見れば、フェイトちゃんの腕が私の顔の前に伸びてきていた。

私がそっぽを向いた先が始めから分かっていたかのように、上手く視界を塞いで。



――なのはの事は何でもお見通しだよ?



そう言われているようで、何だか悔しい。



あのフェイトちゃんなのに!



小さい時、髪を洗ってあげないと自分では洗えなかったフェイトちゃんなのに!

他にも助けてあげたこともいっぱい、いっぱいあったって言うのに!



……どうして。

どうして、こういう時に限って。



彼女は私の心を捕らえて離さないの……?



「フェイトちゃ」
「開けてみて?」



「…………うん」



赤い箱に収められていたのは、装飾に工夫のされていない素朴な指輪。

だけど、そこに付いている石は。



「綺麗……」



鮮やかで生命力溢れる黄色い宝石。

フェイトちゃんを連想させるそれは、濃厚な色だけど通して見ると曇りが全く無くて。



「私が色々な世界を飛び回ったとき、一番綺麗だと思った宝石を選んでみたんだ」



宝石越しに見えるフェイトちゃんは、まるでこの宝石に住む妖精みたい。

あまりの美しさに、涙が零れてしまいそう。



フェイトちゃんは、私の掌から優しく指輪を摘みあげると。



その宝石を、私の左手の薬指へ。





「結婚、したいんだ」




「フェイトちゃん……」

「友達になるのは凄く簡単だったけれど、恋人になるのはきっと難しいから」



向かい合って、私を抱き寄せて。



「なのはにも、手伝って欲しいんだ」

「手伝うって、どうやって?」



私、声が震えてる。

上手く笑えない、頬が引きつっているのが分かる。




だけど、フェイトちゃんの体も震えている?



……ああ、なんだ。

やっぱりフェイトちゃんは、フェイトちゃんなんだ。



なんか、ちょっと安心。

よくよく顔を覗き込めば、そこに居たのは妖精じゃなくて困った顔のフェイトちゃん。



「なのはの、返事が聞きたいんだ」

「返事……?」



「『はい』か、『いいえ』か。 なのはの気持ちを」

「私の、気持ち……」



「哀れみとか同情とかいらない。 素直ななのはの気持ちが欲しいんだ」

「私は……」



それなら、私も返事をすることができる。



私とぶつかりあって、話し合って仲を深めて。

十年以上も私の隣を飛び続けてくれた。



支えてくれた貴女になら、私は返事をすることができる。



「なの、は……」



不安そうな貴女を、導いてきた私。

私が飛べなくなった時、手を取って飛んでくれた貴女。



私の想いはもう、出逢った時から決まっていた。



そう、それはきっと。

貴女のその瞳に惹かれた時から。



「なのはっ」



「えいっ!」
「ええっ!」



私はフェイトちゃんに足を引っ掛けて、雪の上に転ばせる。

そして、その上からアクシデントを装って。



「んっ」
「~~~っ!?」



キス。



フェイトちゃんの唇は、クリスマスケーキみたい。

ふんわり、甘い。



呆然としたフェイトちゃんに、今度は引きつっていない満面の笑顔で。







――全力全開の恋をしよう?







その日、私とフェイトちゃんは結ばれたんだ。
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